■近視の原因について
近視の原因については、多くの議論がありますが、近くのものを長く見ていることによる調節緊張状態が、近視の進行、あるいは発生の引き金になっているとの説(近業説)が有力です。
特に近くを見つめた状態(調節状態)がとれないために、遠方がぼやけて見える状態を、「仮性近視」あるいは「学校近視」と言います。
■近視・遠視など屈折異常の小学校学年別分布
子供さんの視力が悪いとすぐ近視と思われるかもしれませんが、小学校低学年では、遠視、及び遠視性乱視が多く、高学年になるに従って近視、及び近視性乱視が増加していきます。
ですから、学校で視力低下を指摘されたら、すぐ眼鏡屋さんに行くのではなく、まず眼科の診察を受け、視力低下の原因が「近視」なのか「遠視」なのか「乱視」なのか、あるいは他の病気によるものなのかをはっきりさせる必要があります。
遠視や乱視も目にとっての負担が大きく、視力の発達に悪影響があり、学習の能率も低下します。適切な眼科での指導が必要です。
前述した通り、学年が上がるに従って、「近視」と「近視性乱視」の割合が増加しますので、以後近視の「予防」と「治療法」について述べてみたいと思います。
■近視を予防する日常の注意
正しい姿勢で、しかも腕をしっかり伸ばして本を読みましょう。30cm以内に目を近づけないようにしましょう。寝転んで本を読むなど絶対にいけません。
明るいところで本を読みましょう。テレビも明るい部屋で見るようにしましょう。テレビを近くで見ず、2m以上離して見ましょう。
テレビゲーム、ゲームボーイなどを長時間していると必ず近視が進みます。時間を決めて下さい。1日30分が限度だと思います。
■眼科医院での近視治療法1:「ミドリンM」による就寝前の点眼治療
この目薬は、寝ている間、調節筋の緊張を和らげ、遠方を、見ているのと同じ状態にして目を休めることで、視力の向上をめざすものです。
すぐやめないで、長い時間続けることで効果があります。
■眼科医院での近視治療法2:「望遠訓練器(通称ワック)」による訓練
先ほど述べましたように、「近視」の原因の1つは「調節緊張状態」が続くことにあります。
その調節緊張状態を解くには、遠くのものを見つめる「望遠訓練」が良いとされています。ワックはその望遠訓練をする器械です。
この器械は、視力回復センターなどにはなく、当医院のように眼科医の適切な指導が受けられる眼科医院にだけにあります。
学会発表によると、「望遠訓練器」を近視の生徒に使用したところ7〜8割の生徒の視力が向上したとのことです。特に「仮性近視」の生徒に限るとほぼ全例の生徒の視力が向上しています。
このことから考えると、眼科医の適切な指導のもと、できるかぎり近視の軽い早いうちに治療を受けることが大事だと思われます。
なお、この器械は仮性近視の訓練だけえでなく、近視が強くなってしまった人の進行防止にも、さらに「遠視」や「老眼初期」の方の「眼精疲労」の防止にも効果があります。